ここでは、ボードの全体の形にかかわるアウトラインとロッカーの種類について解説する。
サーフボードのアウトラインは、サーフボードのドライブ性やマニューバー性能を決める。通常はストレートアウトライン(直線)とカービーアウトライン(曲線)との2種類の区別をする。ただ、区別といってもこの2種類では区別は完全にはできない。ストレートに見えても、ある場所はカーブを強めていたりすることもあるので、なかなかサーフボードのデザインは複雑なのだ。
アウトラインには原則があって、ストレートになればなるほどドライブ性能が強くて、カービーになればなるほど、マニューバー性能が高くなる。ただ、ストレートなアウトラインを配置する場所、ロッカーテール形状、そしてカーブの配置などでもボードの性能は様々に変化するので、ボードの性能は全体のバランスで考えるようにしたい。
 |
・ストレートアウトライン
ストレートラインは、ドライブ&スピード性能に優れるアウトラインだ。その反面、ターンは硬く感じる。テールエリアをストレートにしたり、ノーズエリアをストレートにしたりと、組み合わせもいろいろ考えることができる。
ストレートアウトラインは水とボードが接する場所が多くなり、そのためにボードに多くのパワーが供給させる。だから、スピード性能に優れるのだ。このストレートなアウトラインにあわせられる一般的なボードは、スモールウエーブ用のボードが多いようだ。
ただし現代のサーフボードはなかなか複雑で、用途・デザインによってはストレートアウトラインでも、ビックウエーブに使用させるようなTow Inボードもある。 |
 |
・カービーアウトライン
カービーアウトラインは、マニューバー性能に優れて、ボードを動かしやすい。その反面スピード性能は劣る。テールエリアをカービーにしたり、ノーズエリアをカービーにしたりと、組み合わせもいろいろ考えることができる。
カービーアウトラインは、水とボードが接する面がストレートアウトラインよりも少なくなるので、その結果、ボードのスピード性能は落ち、安定性がなくなる。安定性が無くなるとは、逆に言うと、ボードが動くようになる。
一般にカービーなアウトラインはオールラウンドショートボードなどに使われることが多い。ボードにスピードを与えるようなデザインをする小波ボードの様に、ストレートなアウトラインを必要としない・またはあえてボードの動きを高めるようなサーファーの要求に合わせるようなボードのデザインに組み込まれる。 |
◇ワイデストポイントとは?
ワイデストポイントとは、サーフボードのアウトラインカーブで、一番幅広い場所のことを指す。測定方法は、メジャーなどで測るのが一番正確だが、手をつかってもある程度感触をつかむことも出来る。ノーズから、テールにしたがって両手で、レールをそれぞれつかんでなでるように手を下ろしていってみよう。その過程で、カーブの頂点がワイデストポイントとなる。
一般に、前側にワイデストポイントを持ってくると、ボードが安定する。反対に後ろ側にワイデストポイントを持ってくると、ボードの動きが増す。一般的に、フロントフッター(前足加重)には前側のワイデストポイントボードが適して、バックフッター(後ろ足加重)のサーファーには、後ろ側のワイデストポイントボードが適していると言える。
ロッカーは、コンケーブと非常に密接な関係がある。プロサーファーですら誤解している人がいるので、流体力学の基礎が無いと、自分から解析を独自にするのはなかなか難しい。ただ、サーフボードのプロシェイパーはその密接な関係を知っていることは言うまでもない。
他のページでも述べたが、ロッカーはボトムコンケーブと深いつながりのある重要な要素である。一般にはロッカーというとボトムのソリだけを指すことが多いが、ロッカーは実は3種類ある。以下の図を見てみよう。

上の図には3色の区別で、3つのロッカーがある。その中のエンジ色はボトムのカーブラインである、ボトムロッカー。ブルーはレールの水平から見たカーブラインのレールロッカー。そして、デッキの水平のカーブラインであるデッキロッカーだ。ボードロッカーは3種類。その意味と場所をしっかりと覚えておいて欲しい。
ロッカーは非常に重要な要素であることは確かだ。そのために、シェイパーはロッカーチェッカーを使い、そのロッカーの数値の管理に神経を尖らせる。ただ、ロッカーを左右するのはシェイプだけでは無い。
シェイプ後にストリンガーが歪んだりするし、ラミネーションの際に樹脂が縮むことによって、ロッカーの変化が起こりうる。樹脂はポリエスターで平均6%、エポキシ樹脂で平均2%の硬化後に縮むと言われている。樹脂が縮めば、ボードも多少なりとも歪みが出てしまうのは仕方の無いことである。また、ボードが完成後にどのように保管するかでも、ロッカーの数値は微妙に変化してしまう。それだけ、ボードビルディングは様々な要素が入っていて奥が深い。
良いサーフボードビルダーとは、シェイプ後に起こる様々な変化(バリアブル)を計算の上に、ボードを作り上げる者達なのだろう。

また、ボードの実際のロッカーはサーフボードのフレックス(しなり)によって大きく変化する。サーフボードのロッカーは一定では無い。サーフボードはしなるのだ。しなりが加われば、フラットなボードであっても、実は状況によってロッカーが付くボードとなる。
例えば、ドアや畳でサーフィンしている人がいるが、ドアはロッカーがほとんど無い。鉄製のドアだったら、サーフィンは著しく難しいだろう。だけど、木製のドアであれば多少はしなるはずだ。よって、多少なりともサーフィンは可能。また畳は逆にしなり過ぎて、上手くサーフィンできないかもしれない。
Alaiaという木製のサーフボードがあるが、あのボードは薄いので、見た目ではフラットなロッカーだが、実際に波に乗ると、波にあわせてしなる。しなりがあるから、波に乗れる、つまりしなりがロッカーを生み出しているのである。最高のロッカーとは、波のカーブにマッチするロッカーなのだ。しなりの重要性はそこにある。
ロッカーは、通常大きな波に対しては、強め。小さなパワーレスな波に対しては弱めという原則がある。
ボトムのカーブが大きければ(つまりロッカーが強ければ)、水の抵抗が大きくなるが、反面ボードのコントロール性能が上がる。ボトムのカーブが少なくなれば(つまりロッカーが弱ければ)、水から多くのパワーを受けてスピードが上がるが、反面ボードのコントロール性は下がる。

波が大きければ、ボードのスピードは波のパワーが勝手に与えてくれる。スピードを、ボードから捻り出す必要は無い。だから、スピード性能よりコントロール性能のほうが大切なので、ロッカーは強めに取る。
反対に、波が小さかったり・パワーが無い場合はボードからスピードを捻り出す必要がある。勝手にスピードが出て行くようなボードデザイン=概してロッカーが弱く、プレーニングエリアが大きなボードが必要なのである。
ただ、ロッカーで大切な事柄はまだある。ボードは、バランスが大切で、ロッカーは美しく、そして切れ目無くカーブを描いていなければならない。そうで無ければ、ロッカーカーブの途中で水の抵抗が増すだけでなく、コントロール性能も失われてしまったりするのである。美しいカーブこそが、美しいターン・スムーズなサーフィンスタイルを生むと言っても良いだろう。
なお最近は、ボードデザインでCADを使うシェイパーも多い。CADを使うと、ロッカーのカーブが一瞬に数値化され、しかもビジュアルでPC画面上で確認もできる、より正確なロッカーカーブを再現できるという利点もある。

別にハンドシェイプを否定するとかではなく、CADソフトとプレシェイプマシンは、サーフボードをより正確に再現するための頼もしいシェイパーの相棒なのだ。
Reference:Surfline April,2010
|