Mutantインプレッション
小波ボードで、更にテールの軽さを引き出したボード:ロングコンデションから楽しめる
Robertsが波が弱い時期・エリアである、カリフォルニアのサマータイム、アメリカはEast Coast、ヨーロッパの夏、日本の小波に合わせてデザインしたボードがこのMutantです。
Robertsの超小波〜小波系ボードでは、Mush Machineがあります。こちらは素晴らしいテイクオフと波の走破性を持ち合わせるボードです。一回走れば、スネ波であってもボード走るスピード&ドライブ性能を持ちます。弊社でも人気のあるサーフボードデザインです。
そのMush Machineよりも、テールの操作性を上げてよりアグレッシブに攻めたいという要求が出されました。Mush Machineの良さを出来るだけ残しながら、動きを上げる・・・ そのニーズを満たすために
・テールをウイングスワローとする
・ノーズロッカーを微妙に上げる
というデザインチューンを行いました。その他のシークレットな細かなデイテールチェンジを経て、新しいモデルが誕生しました。今回紹介するMutantはMush Machineとは乗り味が別のボードです。だから2本ボードを持っていても、その違いを楽しむことが出来ます。
それではこのボードモデルの感想を書いてみましょう。
【ボードの良い点】
Mutantのテストはロングコンデションの小波から、早い・掘れている胸サイズまで使ってみました。まずはすぐに感じる特徴を述べます。
“テイクオフはウルトラスムーズ。うねりから走り出すようなフィーリングでスルスルっ!"
と走り出します。
パドルをした感じだと、レールエリアにボリュームがあるボードよりも全体にボリュームが広がっている感じを受けます。いわば、すっきり目で幅広のボードをパドルしている感じです。グイグイという感じよりも、スイスイとパドルが進みます。
センターにフォームを取っていて、レールエリアは丸みを帯びたレールながらも、すっきりとしていてるレール形状です。ボードの浮いた感じは、普通のよりサーフボードのフォームが均等にボードに配置されている印象を受けます。
強い浮力でつき上げてくる感じではありませんが、ギュルギュル〜という感じでパドルの推進力も強いです。持った感じはすっきりとしたボードなのですが、浮力はかなり強いです。ボードはジャストサイズで乗りたい場合は短めがお勧めとなります。
テイクオフした後の乗り味なんですが、ボードをプッシュして走らせる必要が無く、走った後はボードが自動的にグイグイと走る感触です。シャカシャカ・ガチャガチャと上半身・下半身が動いてかっこ悪いスタイルにはなり難いボード。あせってスピードを出そうとしてなくても、ボードから勝手にスピードが出ます。これはMush Machineの感覚にとても似ています。
乗った後なんですが、これがまた驚きの操作性の軽さです。一度ボードがスピードに乗ってしまうと、どこまでも走る感覚なんですがテールはなぜだか軽く動く。シャキシャキとして、止まらないサーフィンが可能です。波のトップでのボードの軽さは、この浮力ではありえないほどです。
ボトムではドライブ感が素晴らしく、トップでは軽い返しが出来るボードとはまさにこのことだったのでしょう。
ボードをボトムで深くターンをさせることも得意です。ボトムでは、ボードはフラフラとせず、安定感が抜群です。一度ボトムターンを終えて、波のトップへボードを持って行くと、テールエリアのアウトラインシェイプとコンケーブ、ロッカーが効果的に効き、あのドライブ感からは信じられないほどの軽いタッチのトップターンが出来るのです。
まとめると
@テイクオフは激早ではないが、最小サイズの波でもスムーズかつ早い走り出しを約束してくれる
Aテールエリアが軽く動き、レールもすっきりと波に入ります
B乗った後のドライブ性能が高いです
C緩い波でもスピードが落ちません
【スパイスアップ!】
このボードは小さい波からそこそこ掘れている胸サイズまでを限りなく楽しくしてくれえるボードです。ただし、ボードの特性として以下の点を踏まてみましょう。
@ 胸くらいの掘れた波でレイトテイクオフをしようとすると、ノーズロッカーがそれほど強いわけでは無いので気をつけないとノーズが刺さります。掘れた波のレイトテイクオフは、ノーズがかまないようにちょっと気を付けるとうまく行きます。
A テイクオフは超浮力系には劣ります。ただし、WD系の少し短い小波系ボードより早いです。
B 動きをふんだんに出したい方はサイズは短めが推奨(WD系より2〜3インチ短く)です。短いけど、それほど短く感じ無いようなシェイプになっています。長めで乗ると、ドライブ性が強いので、スピードが完全に付くまではボードが少し重く感じることがあるかもしれません。浮力系で乗りたい方は、長さ・幅ともに上げていただいていもかまいません。
C スタンダードショートボードのように、ボードをもっとプッシュしてそのフィーリングを楽しみたい方は、ボードを推奨サイズより1〜2インチ短くしましょう。厚みは1/8〜2 1/4”幅広、厚みはキープで良いでしょう。
D 先ほども記載しましたが、ボードをプッシュしてスピードを出すタイプではありません。少しリラックスしながらも、波のトップでは軽快にボードを返したい!というサーファー向けです。ドライブ重視のボードです。ただし、強調したい点は鈍重なボードでは無く、スピードにのったまま軽いテールのフィーリングが味わえるとうことです。
E ドライブ重視ボードなので、波のポケットフィットしてタイトにサーフィンしたい方はDiamond FishやCBのBarcelona、そしてMADのFat Catをお勧めします。前述の3つのモデルのほうが、より半径の狭いターンが可能です。
F 超小波〜小波で活躍するボードですが、更にドライブ感を強めたり、もっとリラックスしながらトップでもMutantほどと言わないまでも、きっちりと当て込みたいとう方はMush Machineをお勧めします。Mush Machineはミニシモンズのように波に浮いたような単調なフィーリングではなく、もっとコンケーブの効いた現代ショートボードのDNAを受け継いだ乗り味ですので、そちらのモデルも是非ご参考ください。
以上のことは頭に入れておく必要がありそうです。
【どんなサーファーにこのボードは向いているか?】
@ WD系よりも小波が更に得意なボードをお探しの方
A Mush Machineよりもテールを軽く動かしたい方
B 小波系でもすっきり目のレールが好きな方
C ボードのスピードも重視したい方
D 超小波〜小波で動かしながらも、ドライブ感を生かして通常はつかまってしまうようなセクションも乗り越えたい方
となります。
【ちょいとインプレ】
この記事を書いている間、他の小波系用ボードとの比較も含めて何回もサーフボードに乗り、さまざまなフィンセットアップもしてみました。
ボードサイズは5'4”-19 7/8”-2 1/4"でCLは27.5くらいです。
通常は小波だったらFCSUのPerformerのMをフロントにして、リアーフィンはPerformerのQuadのSサイズ。波が大きければ、フロンとフィンをLにします。ホールドを高めたい時にはNubstarフィンもつけます。
波のサイズは得意なのはやはり小波。周りはロングしかいないような状況でショートボードをやるならば、やっぱりこういったタイプの小波系が無いとなかなか楽しめません。このMutantであれば、小波でもテイクオフできて、そして乗った後にボードがグイグイとドライブしていくのでストレスの無いサーフィンが楽しめます。
あとこのボードはある程度のサイズがあっても乗れてしまうことにも気づきました。掘れているパワーがあって、大きな波はいまいちなんですが、頭サイズであっても、フェイスが広いトロ目の波であれば楽しめます。ハイタイドで波が緩い肩〜頭サイズの波も結構得意です。
もともとスタンダードな波ではなく、デザインはスモールウエーブ用です。ただし、いざというときは少しサイズが出ても乗れてしまうという利点も気づきました(ただし!あくまでもスモールウエーブのほうが得意ということは心に留めておいてください)。
本日も波がだらだらなもも〜腰サイズの波で乗ってきました。自分の周りはすべてロングボードかファンボードに乗っているサーファーのみです。右側の波が少し良い場所はショートが陣取っていましたが、その波取り競争には加わらず、こちらのリズムがゆったりと流れる場所でショートボードを楽しみました。
テイクオフもかなり早くて、スムーズ。そして乗った後のテールの軽さや、ボードのドライブ性能が良く、こんな状況でも120%波乗りを楽しめました。しかも、かなりパフォーマンスも意識出来たと感じます。
とにかく、ボードがスムーズでフラットなセクションも止まらないドライブ&スピード感がある・・・素晴らしいボードデザインです。